部屋を後にした


総二郎の結婚式は盛大だった。

式は西門縁の寺で挙げ、披露宴はメープルで行われた。俺たち三人と桜子、滋も招待されたがそこには形だけの祝いの言葉しかなかった。

式の最中も総二郎が表情を緩める事はなかった。まるで人形のようにただその場にいるだけだった。

違う。俺のせいじゃねー。俺から牧野を奪ったお前がわりぃーんだ。だからこんな事になったんだ。


総二郎は能面みてーな顔をしてた。
ガキの頃から今までずっと一緒にいるけど、こんなにも感情のねー顔を初めて見た。それは、あきらも類も同じだろう。俺たちは話しかける事すら出来ねーでいた。

俺は総二郎の目を見る事すら出来ねー囍宴大師

滋と桜子も事情を知っていて、あの滋でさえ声をかけれねーでいたし、桜子は桜子で神妙な顔をしていた。

式の後にスイートを用意してたけど、総二郎は誰とも話す事なく部屋を後にした。

残った俺たちは暫く酒を飲んでたけど、何を飲んでも味なんか分かんねー。
話題にあがるのは牧野の事だ。あいつが今Neo skin lab 退款、何処に居るのか?何をしてるのか?
結局、何を話しても盛り上がる事もなく、全員早々に引き上げた。


式を境に総二郎は牧野を探すのを止めた。同時に、俺たちとも会わなくなっちまった。あきらの話によれば屋敷に籠りっきりらしい。
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