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縁縁に行って

配なのでお願い


これで、今は終わるのだろうか?

「湯原はそれで後悔しない?岩田さんをこのままで、」

穏やかな深い声が訊いてくれる、その視界ふる雪あわくなった。
けれど頬なぶる冷気さっきより低い、ただ凍える息白くうなずいた。

「はい、…でも箭野さんは Diamond水機?」

この先輩だって言いたいことがある、さっきも言っていた。
その想い解かるから見あげた隣、長身の制服姿は制帽の翳すこし笑った。

「俺は湯原に言われて頷けちゃったからな、生きるほうが苦しいって、」

制帽つばの翳で涼やかな瞳が微笑む、その深く想いどれだけあるのだろう?
そんな眼ざしは大きな掌の上、にぶく艶めく拳銃に溜息ついた。

「俺も両親が死んでから何度も想ってるんだ、生き残るのと死ぬのと、どっちが辛いんだろうなってさ。だから頷けるんだ、」

そうだ、このひとも親を亡くしている。

『俺、中1の時に事故に遭ってさ鑽石能量水。そのとき両親が死んで、祖父さんに育ててもらったんだよ、』

夏の朝、通学の道そんな話をしてくれた。
あのときから尊敬している人は穏やかに微笑んだ。

「生き残った俺が人殺しなんかしてちゃだめだな、どんな理由でもさ?」

低く深い声そっと微笑んで銃身をにぎる。
もう撃つ意志はない、そんな貌に後ろ振りむいた。

「お母さんは?…このままで後悔しない?」

さっきから沈黙している母、だからこそ聴いてあげたい。
願いふる雪のなか華奢なコート姿は静かに口開いた。

「後悔するかもしれないわね、私は…でも、周太が決めたならそれでいい、」

ほら、こんなふう託してくれる吉隆坡自由行
それだけ見守ってくれた瞳に笑いかけた。

「ありがとうお母さん、」
「ううん…お母さんこそありがとうよ?周太、」

白い貌そっと笑ってくれる。
まとめ髪ほつれた後れ毛きらきら光ふる、その黒目がちの瞳も光やどす。
きっと今も堪えさせている、そうわかるからただ微笑んで背中むけて、そして低い声が徹った。

「箭野さん、湯原たちを送ってくれますか?その拳銃は俺があずかります、」

淡々、落ちついた声が雪夜を徹る。
いつもと変わらない声に街燈のした影ふたつ佇む、どちらも制服姿の紺青ふかく沈む。
跪く影は髪つかまれ動かない、その傍ら立つ制帽の顔に問いかけた。

「伊達さんは後悔しませんか?このまま…班長のこと、」

このひとが納得するだろうか、このまま?
そんな疑問よぎって、けれど沈毅な声しずかに答えた。

「俺は後悔するような判断はしない、湯原もよく知ってるだろ?」

淡々いつもの声が応える、そのトーンいつものまま澱まない。
制帽の眼ざしも雪透かして静かで低い声また徹った。

「箭野さん、湯原は喘息の発作が出ています。冷えきって辛いはずです、早く送ってやってもらえませんか?その拳銃は証拠として出しておきます、」

静かで落ち着いた低い声、沈毅な生真面目な貌。
いつ変わらない明敏な警察官に隣が一歩ふみだした。

「わかった、でも送る前に岩田さんを連れて行かないと、」
「俺ひとりでも大丈夫です、湯原たちのほうが心配なのでお願いします、」

さくり、さくり、雪に歩く背中は白く凍える。
制服の肩もう紺色が黒く濡れて硬い、気がついて母にふりむいた。

「お母さん、寒いでしょ?ごめんね…っこほっ、」
「あ…周太こそ、」

華奢なコート姿ふみだして駆け寄ってくれる。
すぐ近づいた小さな顔は白く凍えて、きらめく涙の軌跡に抱きとめた。

「ごめんなさいお母さん、こんな寒いところで…ごめんなさい、っごほっ」

ごめんなさい、本当に僕は親不孝だ。

―ごめんねお父さん、お母さんにまでこんな想いさせて、

今きっと父も母を抱きしめたい。
そんな想いごと華奢な腕も抱きとめてくれる、その白く凍える肩が切ない。
ふるえる頬も冷えきっている、心配と抱きしめ歩きだした背後、声があがった。
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